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 『中学算法』は享保四年(一七一九)に刊行された。この年は関孝和が亡くなって十一年後である。同書は関西の穂積与信撰『下学算法』の遺題十一問に答え、その巻末に附設十二問として同志による遺題を設けている。巻頭に「関氏門人、武江市箇谷本村住 青山氏利永撰」とあり、撰者青山利永は関孝和の門人で江戸市谷本村の住人であることが判る。また、同書の序は同門の宮地有鄰(通称新五郎・可篤、市谷住)が書いている。宮地は宝永元年(一七〇四)に関孝和から算法許状を授かっており、その許状が日本学士院に現存している。それに遺題十二問を作成した同志は、宮井信敦(荒木村英門人、大久保住)佐野重好(荒木村英門人、市谷住)、宮地可篤(有鄰、関孝和門人、市谷住)、石津直行(荒木村英門人、江戸住)、高嶋宗尹(宮井信敦門人、青山住)、青山利永(関孝和門人、市谷本村住)である。このように、『中学算法』は主として新宿区内に住む同好の人々によって作られたものである。
 なお、利永の著には『算法方陣之法解』がある。また、青山利永の住所については、若干の考察をしたのでその経緯については別項で書きたいと思う。
 遺題承継について本項の第1回目(よもやま話84回)では「新たに難問を示して解答を示す」としたが、実は「遺題承継」とされる問題には「あらかじめ答を示しその解法(解術)を問う」ことで遺題としたものが多い。また富山の豪農であった石黒信由の著した『算学鉤致』の様に通常(中学算法は一七丁)よりもかなり多くの頁数(一五三丁)を費やして問題の解法が示されたものもあった。当時の出版は丁数に応じて費用がかかったため、石 黒信由は相当の資産家であったと考えられる。彼は伊能忠敬に従って測量をしたこともある。『算学鉤致』については「刊本」が東北大学付属図書館 和算資料データベース (旧:和算ポータ ル)で一般公開されている。刊本の画像には当時の本の広告の様な情報も含まれており下記の一連の遺題承継についても画像が公開されているので参照されることをお薦めする。
 ここでの遺題承継は中村政栄(出羽鶴岡藩士)の『天元樵談』(一七〇二年刊、遺題九問)に始まり、『下学算法』(一七一五年刊、遺題十一問)とつづき、更に今回話題にしている『中学算法』(一七一九年刊、遺題十二問)とつづく。ついで『竿頭算法』(一七三八年刊、遺題二十五問)中根彦循(京都の人、中根元圭の子、江戸に出て建部賢弘・久留島義太に学び、再び京都に帰る)、『開承算法』(一七四三年刊、遺題十二問)神谷保貞、『闡微算法』(一七五〇年刊、遺題十五問)、武田済美(長崎の人)、『算学鉤致』(一八〇九年刊、遺題なし)、石黒信由著(越中の人、山路之徽・藤田貞資の孫弟子)、まで続いた。

『中学算法』本文先頭
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